『けものフレンズ』ブームはなぜ起きたのか・・・
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◆「けものフレンズ」はなぜブレイクしたのか?それでは一体、「けものフレンズ」の何が視聴者の心を掴んだのでしょうか?
「けものフレンズ」は、ジャパリパークという超巨大総合動物園に迷い込んだ主人公、通称「かばんちゃん」を中心に物語が展開されます。
記憶を失くし、自分がなぜここにいるのか、自分が何者かも分からない「かばんちゃん」。ジャパリパークで“アニマルガール”のサーバルに出会い、自分が何者なのか、どこから来たのかを調べるため、園内の図書館へ向かいます。▼ニコニコ動画では第1話が無料公開中。文章だけだとイメージしづらい方は、ぜひ最初の数分だけでも見てみてください。
http://www.nicovideo.jp/watch/1484126967
◆「のけもの」のいない、ゆるくて優しい世界観
アニメを見てすぐに分かりますが、「けものフレンズ」はとにかく「ゆるい」。いろんな意味でゆるいです。
最近は絵もアニメーションも作り込まれた作品が多い中、静止画を動かしているかのようなシーンもあり、の~んびりした音楽がゆるさをさらに強調しています。物語のテンポもやたらゆっくり。
そして何よりも注目すべきは、サーバルの話し方です。まるで幼児番組かのような「すっごーい!」「たーのしー!」というシンプルで前向きなセリフ。「けものフレンズ」を語る時に「脳が溶ける」「IQが下がる」という表現がよく使われますが、こののんびりした展開に身をゆだねていると、本当に脳が溶けていきそうです。アニマルガールたちは、見た目は人のようですが、ジャンプ力があったり、足が速かったり、泳げたり、動物としてのそれぞれの行動特性が色濃く残っています。その一方で共通して知能があまり高くないので、ポンコツ感さえ漂っています。
しかしこの世界には、それを馬鹿にするようなことはありません。足が速くてジャンプ力もあるサーバルを見て「自分には何も得意なことがないみたい」と言うかばんちゃんに対して、サーバルは「かばんちゃんはすっごい頑張り屋だから、きっとすぐ何が得意か分かるよ!」と励まし、何かできることがあると「すごーい!」とすぐに褒めます。
あるがままを全て受け入れてもらえる寛容さ。オープニング曲(第1話では最後に流れています)の歌詞にもありますが、「けものフレンズ」の世界には”けもの”はいても”のけもの”はいないのです。
この居心地の良い優しい世界観が、「けものフレンズ」の魅力の一つです。
◆その一方で、不穏な空気がチラつく……
平和な空気が漂う「けものフレンズ」ですが、物語が進んでいくうちに、ところどころでドキッとするような不穏な空気を感じます。
サーバルは一番最初に出会った時から主人公のかばんちゃんを「何かの動物がもとになったアニマルガール」と思っているようですが、かばんちゃんは外見上動物らしい特徴は何も見られず、その姿は人間そのものです。そして、他の動物たちと比べても知性が高い。。。
なぜアニマルガールたちはかばんちゃんを見て「何のアニマルか」を考えるのでしょうか。人間である可能性は、考えないのでしょうか?
そもそもジャパリパークには、アニマルガールはたくさんいるのに、なぜ人間の姿が見当たらないのでしょうか。
◆鬱展開アニメの可能性……大反響を呼んだ「廃墟の遊園地」
また、園内にある案内板やバスは皆サビついて古ぼけており、どうやら長い間管理されていないようです。
「何かがおかしい」「もしかして鬱展開アニメなんじゃないか」。そんな視聴者の不安を煽るかのように、第2話で初めて流れたエンディングの背景には、廃墟となった遊園地のモノクロ映像が映し出されました。
そして第4話「さばくちほー」ではこの不安がほぼ確信に変わるようなエピソードが放送されました。次第にグーグルでの検索やツイッターでの言及が増えたのがこのタイミングです。
かわいいキャラクターたちによる、明るく平和な世界。そしてその裏でチラつく不穏な空気。かばんちゃんたちの旅には、どんな結末が待ち構えているのでしょうか?
一度見始めたら続きが気になって仕方がない。これも「けものフレンズ」の魅力です。